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ニコチンの精神薬理作用

はじめに(ニコチンとは)

 ニコチン(nicotine)はアルカロイドの一種で、即効性が非常に強い神経作用のある物質です。化学物質としては毒物に指定されており、揮発性がある無色の油状液体で、化学式はC10H14N2です。ニコチンは、天然由来の物質です。タバコの葉に含まれていて、喫煙によって煙から体内に取り込まれます。血液中のニコチンは、急速に全身に広がり、中枢神経にあるニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に結合すると、報酬系と呼ばれる神経回路に作用し、心地よさをもたらします。喫煙の習慣がなかなか止められないのは、この仕組みが強いため、薬物依存を引き起こすためではないかと考えられます。通常、複数回の摂取によって、ニコチン依存症が発症します。WHO世界保健機関は「ニコチンはヘロインやコカインと同程度の高い依存性がある」と発表しています。

 ニコチンは、強い収縮作用があるため、毛細血管を収縮させて、血圧を上昇させます。また、中毒性があり、子どもが誤ってタバコの葉を食べたりすると、中毒を起こし、死に至ることもあります。ニコチン自体に発ガン性は認められていません。

 また、ニコチンの毒性は、青酸カリの倍以上にも匹敵するといわれており、致死量は体重1kgあたり1mgとされていますから、成人では50〜60mgで死に至ります。タバコ1本には、6〜20mgのニコチンが含まれていますが、仮に20mgのタバコとすれば、わずか3本で成人の致死量になります。劇薬・青酸カリの致死量が200mg程度ですので、ニコチンは青酸カリよりはるかに強力な劇薬ということになります。しかし、タバコは食べるものではなく、シガレットとして煙を吸うものです。その場合、タバコ1本から体内に入るニコチンの量は1mg程度で、しかも血中ニコチン濃度は自動調整されて、20〜35ng/ml程度といわれています。


喫煙とストレスの関係

 私たちの日常生活において、喫煙は様々な状況で行われます。ストレスと喫煙行動の関係もそのひとつで、タバコの煙に含まれるニコチンの多様な精神効果(鎮静と興奮作用)と大いに関連しています。ストレスの軽減を目的とした喫煙は、その可能性のひとつと考えられます。たとえば、1週間のうちで、仕事のある日とない日があるなかで、ストレス度は当然異なるものと考えられます。そこで研究では、ストレス度が典型的に異なる就労日と休日について、6名の喫煙者を対象に、喫煙した時間を記録してもらったところ、6名すべてにおいて、休日より就労日の方が多く喫煙していたことがわかりました。その平均喫煙本数は、就労日で20.8±6.9本、休日で15.3±7.5本で、有意差(統計学的に明らかに差がある)がありました。

 さらに実験では、日常生活のなかで、ストレス度の異なる場面をとりあげ、そのような状況下において、実際に喫煙行動がどのように生じているかについても検討しています。これには7名の喫煙者が参加し、設定された条件は以下の4つでした。

  • @読書や音楽鑑賞など自由に過ごしてよい条件下、
  • A食事を含む条件下、
  • B連続加算を行う精神作業課題の条件下、
  • C室内で自転車こぎをする運動課題の条件下

 の4つにおいて、自由に喫煙することが条件でした。そして、この条件下における喫煙行動、自覚的状態および生理学的状態を調べたものです。

 その結果は、まず自覚的状態でいうと、食事前では快適さと関連する項目での増加があったのに対し、その他の条件の下では、不快と関連する項目において自覚度合の増加が認められたのです。こうしたことから、喫煙欲求が有意に高かったのは、精神作業課題と運動課題の条件下においてでした。一方、生理学的変化は軽微でした。これらを総合して、喫煙前のストレス度が最も強かったのは、精神作業課題の条件下で、次に運動課題条件、自由条件、食事条件の順であることが確認されたのです。

 では、このような喫煙前のストレスを感じる自覚状態から、4つの実験条件下で、喫煙や他の指標はどうなっていったかというと、ストレス度が最も強かった精神作業課題の条件下では、喫煙本数と吸入(パフ)回数が最も多いことがわかり、逆に、最も少なかったのは自由条件下でした。また、吸入に要した時間でみると、最も長かったのは自由条件下で、最も短かったのは精神作業の条件下でした。喫煙後の吸殼の長さの比較では、4つの条件下の間で大きな差は認められませんでした。以上のことから、ストレス度が強いほど、より多く喫煙し、より早く吸入することがわかったのです。

 また、自覚的には、吸ったタバコの強さは、精神作業条件において、最も強く感じられ、自由条件下で最も弱く感じられていたことがわかりました。さらに喫煙によって、不快と関連する項目では自覚的度合いが減弱し、快適と関連する項目では増加していました。この自覚状態の変化は、相対的には精神作業条件下で最も強く生じ、自由条件下では最も弱かったのです。一方、ストレス度の異なる条件下における喫煙による生理学的変化は、全体として軽微なものでした。


喫煙と交感神経・副腎髄質機能との関係

 日常的に喫煙を習慣としている人において、喫煙が役割遂行上、支障が見られることは少ないように見えますが、実際に身体的機能への影響はどうでしょうか? 一般的に、喫煙の身体面への影響としては、一過性の脈拍の増加と血圧の上昇が知られています。しかし、それによって日常生活への影響はというと、必ずしも明らかではありません。この脈拍増加と血圧上昇には、交感神経・副腎髄質機能が関与しているのではないかと着目され、その研究が行われました。研究は、実験条件の下で行われたものと、日常生活の下で行われたものを比較検討しています。

 まず、行われたのが急性喫煙負荷実験でした。健常の喫煙者6名を対象に、30分間に7本の両切りピースを喫煙させ、その時の血圧、脈拍、尿中のカテコールアミン排泄量を測定しました。さらに、別の機会にピース1本を5分間で喫煙させ、時間の経過とともに血漿カテコールアミンを測定しました。この急性喫煙負荷の実験を行った結果、血圧と脈拍は、喫煙開始直後に一時的に増加を示しました。この時の血漿カテコールアミンの数値をみると、喫煙5分後、ノルエピネフリンは基礎値の1.8倍、エピネフリンは5.9倍と有意に増加していました。一方、尿中のカテコールアミン排泄量を見ると、エピネフリンについては明らかに増加反応を示したが、ノルエピネフリンについては変動がなかったといいます。

 次に、日常生活の喫煙についての実験は、喫煙習慣のある健常男性1名に、4日間の非喫煙日と6日間の喫煙日を設け、喫煙日には1日20〜30本のタバコを吸ってもらいました。そして、都合連続10日間に、連続して64回の排尿について、その排尿ごとの尿中カテコールアミン排泄量を測定しました。それによって、交感神経・副腎髄質機能に及ぼす影響を調べました。尿中カテコールアミン排泄量は、個人ごとでは比較的一定しているものの、人によって個人差が大きいことが知られていたため、ここでは、同一個人内の喫煙と禁煙下で測定がおこなわれました。

 結果は、全体を通してノルエピネフリンとエピネフリンの両物質の排泄には、昼夜のリズムが認められ、エピネフリンにおいて顕著でした。夜間就寝時間帯における尿中のカテコールアミン排泄量は、比較的低値で安定しており、同一個人においては基礎分泌量が、比較的一定していることがわかりました。また、身体活動との関係では、スポーツや労働のときは、両物質がほぼ比例して変動していることが観察されています。万歩計による活動量との関係でみると、身体活動の程度と尿中ノルエピネフリンとの間で若干の正の相関が認められたが、エピネフリンとの相関においては乏しいことがわかりました。これは、エピネフリンの分泌刺激として、身体活動以外に、精神的要因や代謝性の要因による関与が考えられます。なお、喫煙日と非喫煙日の比較においては、尿中エピネフリン排泄量における、増加は認められませんでした。以上を総括して、日常生活における喫煙習慣は、急性喫煙負荷実験のような過酷な状況とは異なり、交感神経・副腎髄質機能への影響は軽微であることがわかりました。またそれにより、循環動態に及ぼす影響も軽微であろうと考えられます。


喫煙とストレス感受性について

インシュリン低血糖刺激試験と運動負荷試験 

 ストレスに対する感受性は、喫煙によって影響を受けるのでしょうか? これについては、低血糖ストレス時における副腎皮質刺激ホルモン-コルチゾール系の分泌刺激に対して、コルチコトロピン放出因子、カテコールアミン、血漿バソプレッシンが関与していることが、これまでに分かっています。また、急性喫煙は血漿バソプレッシンの分泌を亢進させることがわかっていますが、通常喫煙日と禁煙日における血漿バソプレッシンの動態については、まだわかっていません。この点についての研究が報告されています。

 喫煙者6名を対象に、通常喫煙時の後と禁煙3日後に、インシュリン低血糖刺激試験および運動負荷試験を行って、心拍数、平均動脈圧、血清浸透圧、血糖、血漿コルチゾール、血漿バソプレッシンについて測定し、それを比較したものです。その結果、インシュリン低血糖刺激においては、血漿バソプレッシンの増加が認められました。これは、血漿バソプレッシンが、コルチコトロピン放出因子と副腎皮質刺激ホルモン分泌刺激に作用している可能性があるものと考えられます。

 そこで、通常喫煙日と禁煙日に、低血糖刺激試験を行ったところ、血漿バソプレッシンの基礎値および反応性においては、差がありませんでした。このことから、慢性の喫煙が低血糖ストレス感受性に与える影響は、血漿バソプレッシン分泌の面からは少ないと考えられます。また、コルチゾール分泌にも差が認められませんでした。

 一方、運動負荷試験においては、心拍数、平均動脈圧、血清浸透圧においては、喫煙日も禁煙日も差はなかったものの、血漿バソプレッシンにおいては、喫煙日は禁煙日に比べて反応性の低下が、6人中4人に見られました。この運動負荷時に血漿バソプレッシンが上昇するメカニズムとしては、有効循環血液量の減少、レニン上昇に伴うアンギオテンシンUの刺激効果、血漿バソプレッシンの代謝性クリアランス率の低下等が関わっているものと思われます。結論としては、運動負荷においては、慢性の喫煙が、血漿バソプレッシン分泌に影響を与えていることが考えられます。


立体負荷、寒冷刺激、計算負荷試験

 さらに、喫煙のストレス感受性に及ぼす影響として、次のような研究が行われました。対象者は、喫煙者5名と非喫煙者3名で、通常喫煙時と禁煙3日後に、立体負荷(臥位、立位、坐位をそれぞれ一定時間負荷する試験)、寒冷刺激、計算負荷試験を行い、平均動脈血圧、心拍数、血清浸透圧、血清エピネフリン、ノルエピネフリン、コルチゾール、バソプレッシン、心房性Na利尿ホルモンを測定して比較するものでした。 

 その結果、立体負荷では禁煙時および喫煙時ともに、ノルエピネフリンは上昇したが、バソプレッシン、心房性Na利尿ホルモンにおいては、ともに禁煙時で低下していました。また、寒冷刺激ではバソプレッシンは上昇したが、その上昇は禁煙時において少ない傾向にありました。さらに、計算負荷試験では有意な変動はなかったものの、禁煙時でのバソプレッシン、心房性Na利尿ホルモン、ノルエピネフリンの基礎値は、喫煙時に比べて高い傾向にありました。以上の試験結果には、設定されたストレス状況の心身に及ぼす影響の違いや、禁煙時の退薬症候の関与、さらにニコチンの心身に及ぼす影響など、さまざまな因子の関与が考えられます。

ストレス負荷条件下での各種ストレスホルモン

 また、喫煙のストレス感受性に及ぼす影響について、視床下部・下垂体・副腎系の反応についても検討されました。喫煙者6名を対象にして、通常喫煙時と禁煙3日後に、ストレス負荷条件下における各種ストレスホルモンを測定しました。負荷条件と測定項目は、まずインシュリン低血糖刺激と運動負荷時においては、コルチゾール、血漿バソプレッシン、コルチコトロピン放出因子、副腎皮質刺激ホルモン、ベータ・エンドルフィン/ベータ・リポトロピンを測定します。また立体負荷、寒冷刺激、計算負荷時には、心房性Na利尿ホルモン、コルチゾール、副腎皮質刺激ホルモン、カテコールアミンを測定し、夜間労働条件下では遊離コルチゾールを測定しました。

 その結果、運動、立位、寒冷刺激では、禁煙日においてコルチコトロピン放出因子、血漿バソプレッシン、副腎皮質刺激ホルモン、-endorphine/-LPH、レニン、アルドステロン、心房性Na利尿ホルモンの反応性の低下が認められました。一方、禁煙日には血漿ノルエピネフリンの基礎値が上昇していました。次に、インシュリン低血糖試験と計算負荷においては、喫煙日と禁煙日に差は認められませんでした。より長期のストレスに対する反応性を調べるために、日内変動が低値をとる夜間の尿中遊離コルチゾールを測定したところ、禁煙日のストレスホルモンの反応性の低下には、禁煙日の血漿カテコールアミン値の低下をともなっていることから、交感神経系の緊張が関与しているものと考えられます。


喫煙の中枢神経に及ぼす影響

 中枢神経系の機能をみるのに、よく利用されているのが事象関連電位です。喫煙の中枢神経に及ぼす影響を検討する場合、聴性脳幹反応とP300成分の測定を行います。聴性脳幹反応は、中枢神経の一次的伝導路の評価を行う上で有用であるのに対し、P300は脳の高次機能、特に認知との関連の指標をみるのに有用です。

 まず、聴性脳幹反応は、音刺激に続く約10msecに出現する反応で、普通7個の陽性頂点として認められています。臨床的には、初めの5個が重要で、潜時の早いものから順に挙げると、T波が聴神経、U波が蝸牛神経核、V波が上オリーブ核、W波が橋部聴覚路、X波が下丘と考えられています。したがって、各頂点潜時を測定すれば、どの部位に障害があるかがわかることになります。次に、P300というのは、2種類の刺激を与え、それを識別しようとするとき出現する潜時約300msecの陽性頂点のことです。

 大脳の情報処理プロセスは、標的刺激入力、選択的注意、標的刺激の識別、指向反応、内在記憶像との比較、刺激のカテゴリー化、課題実行決定としてとらえられており、特に後半の広汎連合野が関与している部分が、P300の発生に関係していると言われます。P300の潜時は、年齢とともに成人期までは短縮しますが、成人以降は年齢とともに延長します。また、知能との関係もあって、痴呆では延長することが知られています。P300の振幅は、被験者がうとうとした状態や、標的刺激に対して無関心なときは低下することや、標的刺激の出現頻度が低くなればなるほど、振幅は増大することがわかっています。

 また研究では、非喫煙者群、喫煙者群、前喫煙者群で、聴性肝脳反応を比較しています。その結果、T〜V波は喫煙者群において非喫煙者群より有意に短縮しており、前喫煙者群では短縮傾向を示していました。V〜X波においても同様の傾向を示し、喫煙者群と前喫煙者群は非喫煙者群よりも有意に短縮していました。T〜X波でも同様の変化を反映し、喫煙者群と前喫煙者群は非喫煙者群より有意に短縮していました。また、振幅については、T、V、X波とも喫煙者群ではほかの2群より有意に低下していました。

 すなわち、聴性脳幹反応では、喫煙者群および前喫煙者群では、非喫煙者群にくらべて、中枢伝導時間の短縮がみられ、一方、喫煙者群ではほかの2群にくらべて、振幅の低下がみられています。こうした結果から、喫煙の慢性的な影響として、聴性脳幹反応の潜時が短縮し、振幅が低下するといえます。

 潜時の短縮については、喫煙者および前喫煙者で同じような傾向がみられ、しかも長期間続く変化であることから、これには中枢神経に及ぼす機能的変化、たとえばニコチン受容体の増加に伴う一種の促通を反映しているのではないかと推測されています。後者の振幅については、喫煙者だけに振幅の低下がみられ、前喫煙者は非喫煙者と同じ態度を示したことにより、ニコチンによる急性の変化、たとえば薬物動態学的な変化を反映しているのではないかと、推測されています。

 喫煙後の急性期の変化に焦点をあてた研究も報告されています。実験では、12時間の禁煙後マイルドゼブン1本を、任意の速度で喫煙してもらい、喫煙前、喫煙中、喫煙後1分、5分、10分、15分、20分、25分、30分ごとに聴性脳幹反応を測定しました。その結果、T波、V〜X波、T〜X波の潜時が延長し、V〜X波では有意でした。また振幅については、T波、X波で喫煙終了直後から低下傾向を示しました。これは、動物実験でも同様の結果が得られています。つまり、喫煙による急性期の影響として、聴性脳幹反応の潜時は延長し、振幅は低下することが示唆されています。

 ニコチンの中枢神経作用は、アセチルコリン受容体への直接作用、あるいはドーパミン受容体やセロトニン受容体への影響がありうるということです。そこで、これまで調べてきた電気生理学的指標における喫煙の影響が、どの系を介して作用しているのか、薬物をあらかじめ投与することによって、この問題を検討する実験が行われました。

 喫煙者に、クロナゼパムを0.5mg経口投与したあとに喫煙させると、喫煙中に聴性脳幹反応のX波の振幅が、有意に増加しているのが観察されました。クロナゼパムは、脳内セロトニン系とGABA系を賦活することから、喫煙の中枢神経系への影響が、これらの系の作用によるものと考えられます。

 さらに研究では、2つの中枢神経作用薬を前投与することで、喫煙の聴性脳幹反応に及ぼす影響についても検討されています。喫煙者を対象に、前投与なしのまま、L-ドーパ前投与後、またはリスリド前投与後に、マイルドセブン1本の喫煙前から喫煙後30分にわたって、聴性脳幹反応を測定しました。L-ドーパはドーパミン系に、リスリドはドーパミン系とセロトニン系に、促進的に作用すると考えられています。前投与しなかった結果と比較し、喫煙の影響との関係を検討した結果、以下のことが明らかになりました。

 まず、潜時についてはL-ドーパが短縮効果を示し、振幅についてはリスリドが増大効果を示していました。リスリドにはクロナゼパムとの共通点がみられます。これらの結果から、喫煙の聴性脳幹反応に対する影響は、潜時についてはドーパミン系が拮抗的に、振幅についてはセロトニン系が拮抗的に作用している可能性が考えられています。

 また、P300を指標とした研究も行われています。8名の喫煙者を対象に、マイルドセブンライト1本を自由に喫煙した前後で、P300を測定したところ、喫煙によってP300成分の増加が確認されました。これは、喫煙が認知能力あるいは注意力を増加させる効果があることを示唆しています。さらに、喫煙者で喫煙負荷を行わない場合、および非喫煙者において、P300の振幅がどのように変化するかについても検討しています。その結果、喫煙者においては検査回数が増えるにしたがって、P300電位は低下する傾向にあったが、有意な変化とはいえませんでした。また、喫煙者では偽タバコを負荷した後でも、P300電位の増加はみられませんでした。喫煙者と非喫煙者のP300電位の間に、有意な差は認められていません。ゆえに結論として、喫煙は、常習喫煙者のP300電位を増加させ、認知能力あるいは注意力を増加させる効果があると考えられます。


喫煙と飲酒の相互関係

 また研究では、これまでの喫煙と飲酒の相互作用の調査研究や、ヒトでの実験研究の延長として、飲酒時における喫煙の増加のメカニズムを、ニコチンとアルコールの相互作用の観点から、脳波スペクトル解析によって明らかにしています。被験者は、適正飲酒と習慣的喫煙歴がある成人健康男性4名で、実験は3つの条件から構成されています。条件1はオレンジジュース飲用+喫煙、条件2は規定飲酒+模擬喫煙、条件3は規定飲酒+喫煙の3つです。

 まず、15分間でジュースや酒を飲用してもらい、その10分後に紙巻タバコ1本目を喫煙し、45分後に2本目を喫煙してもらいました。喫煙量は各被験者で一定に保ち、飲酒量は清酒1合(ethanol 23.8g)としました。そのうえで、自覚効果、心拍数、収縮期血圧、拡張期血圧、脳波について、処置の前と後に測定しました。脳波は、右後頭部(O2)より導出したものについて、1.0Hz〜3.5Hz(δ)、4.0Hz〜7.5Hz(θ)、8.0Hz〜10.0Hz(α1)、10.5Hz〜12.5Hz(α2)、13.0Hz〜32.0Hz(β)の5帯域の占める割合を、30秒ごとに記録させたものが解析されました。

 その結果、まず自覚効果ですが、自覚的酩酊度のピークは、飲酒が終わってから15分から45分の間にあることが確認されました。非酩酊下と酩酊下で、1本目と2本目は、同じ関係の自覚効果をもたらしていました。アルコールだけの影響としては、心拍数は増加したが、収縮期血圧と拡張期血圧はともに低下していました。こうしたアルコールの影響下で、さらに喫煙による影響としては、心拍数が増加し、収縮期血圧と拡張期血圧は上昇していました。

 また、脳波上での特徴としては、非酩酊下での喫煙の影響は、α1の減少とα2の増加が認められ、この特徴は酩酊下の喫煙の影響としても、明らかに認められました。このα1の減少とα2の増加は、喫煙者の禁煙状態後の喫煙による変化と同じ現象であり、これは飲酒により禁煙状態と類似の変化が生じて喫煙欲求が高まり、再喫煙になりやすいことを示唆しています。

 また、ニコチンおよびアルコールへの依存度と、心理的および生理学的効果との関係についても研究報告されています。両物質の使用様式の違う4名を対象に、1時間禁煙後の自由喫煙、24時間禁煙後の自由喫煙、飲酒後の模擬喫煙、飲酒後の自由喫煙における自覚的および精神生理学的効果を比較検討することによって、飲酒下での喫煙増加機序を調べたものです。その結果、ニコチンとアルコールの使用頻度の多いものほど、効果をより快いと自覚し、禁煙による影響を生じやすく、飲酒時に喫煙欲求が高まることがわかりました。


喫煙条件と耐性

 喫煙効果への急性耐性と喫煙条件との関係を、脳波、心拍数、血圧、自覚効果の指標上で明らかにする実験も報告されています。対象者は、習慣的喫煙歴のある健康な男性5名で、紙巻タバコ(nicotine 1.1mg含有)2本を、2つの異なる間隔(1本目は喫煙終了後15分間隔、30分間隔)で喫煙する2条件を、1日1条件で異なる日に行いました。1本目も2本目も、規定喫煙(1吸入につき6秒間吸入保持し、30秒間隔で6吸入)としました。この実験を行う前の24時間は、飲酒と喫煙を禁じました。脳波、心拍数、収縮期血圧、拡張期血圧、自覚効果を、1回目の喫煙前後と、2回目の喫煙前後に測定しました。

 結果は、脳波上では1名だけで、2本目の喫煙により、効果の減弱を示唆する変化が認められたが、2本のタバコの喫煙間隔の影響に、差は認められませんでした。脳波パワースペクトル上では、α1波とβ波の変化として捉えることが多かったです。また、心拍数や血圧では1名のみで、わずかに15分間隔喫煙で、心拍数に効果の減少がみられたほかは、概していずれの条件下でも、喫煙は心拍数および血圧増加傾向をもたらしていました。また、自覚効果強度の指標上では、4名に15分間隔での2本の喫煙により、効果の減弱が確認され、30分間隔での喫煙では3名にしかこの効果の減弱は認められませんでした。

 これらの実験結果から、2本の紙巻タバコを、15分間隔および30分間隔で喫煙した場合の耐性は、自覚効果上で最も現れやすく、脳波、心拍数および血圧においては乏しい結果となりました。


喫煙と情報処理能力

カラーワードテスト

 喫煙の情報処理能力に及ぼす影響について、ニコチンとアルコールとの相互作用も含めた研究報告があります。対象となった人は、25歳から47歳の健常男性で、志願した6名です。いずれも機会飲酒者で、1日15〜25本の喫煙習慣があります。

 この情報処理能力の検査には、ストループ効果を利用したカラーワードテスト(CWT)が用いられました。テストは、注意を散乱させる状態の下での課題遂行をみることができます。内容は、4つの色調のどれかで彩られた色名の単語(漢字)が示されるが、色調と色名の単語とは対応していません。被験者は、画面上に提示された色調を、すばやくキーボード上に反応する必要があります。このカラーワードテストを、24時間の非飲酒、非喫煙の後に、以下の4条件の下で施行されました。

 それは、

  • @対照条件:非喫煙状態のままCWT施行、
  • A喫煙条件:紙巻タバコ(nicotine 1.1mg/本)をCWTの前半と後半に各1本を自由に喫煙しながらCWT施行、
  • B飲酒条件:清酒1合(ethanol 23.8g)を15分で飲用し、飲用終了後15分よりCWT施行、
  • C飲酒後喫煙条件:清酒1合を15分で飲用し、飲用終了後15分よりCWT施行、CWTの前半と後半に各1本自由に喫煙、

 の4条件です。

 習慣的喫煙者6名によるCWTでみた情報処理能力は、以下のような結果となりました。

  • (1)24時間禁煙後に喫煙すると、非喫煙時にくらべて、1名の被験者に向上が認められました。
  • (2)24時間禁煙後に飲酒すると、非飲酒時にくらべ、4名の人に低下がありました。
  • (3)24時間禁煙後に、飲酒しさらに喫煙すると、飲酒のみのときに比べ、4名において向上が認められました。

 これらの結果から、24時間の禁煙では情報処理能力の低下は顕著ではなく、一方、アルコールは情報処理能力を低下させますが、これは喫煙によって改善されるといえます。

 研究では、さらにCWTの試行時間を長くして、喫煙の情報処理能力に及ぼす影響を検討しています。7名の被験者を対象に行い、CWT10分間を1回とし、5分間の休憩をはさみ、4回施行しています。喫煙、禁煙、再喫煙の3条件でCWT遂行能力を比較した結果、

  • @禁煙時がほかの条件時を上回ることなく、
  • A7名中1名においては3条件間に有意差はなく、
  • B7名中4名において禁煙時には喫煙時に比べて少なく、
  • C7名中2名では再喫煙時が多く、そのうち1名では喫煙および禁煙双方より多く、ほかの1名では禁煙時より多いことがわかりました。

 また、喫煙、飲酒、飲酒喫煙時の条件での比較では、

  • @飲酒時がほかの条件を上回ることはなく、
  • A7名中2名では、3条件の間では有意差はなく、
  • B7名中2名では、喫煙時が飲酒時および飲酒喫煙時より多く、
  • C7名中2名では、飲酒喫煙時が喫煙時および飲酒時より多く、1名では飲酒喫煙時が喫煙時より多いことがわかりました。

これらの結果は、ニコチンがCWT遂行能に促進的に働き、アルコールとの併用下ではさらに遂行能が高まることを示唆しています。併用下での作業量の増加は、ニコチンが情報処理能力を促進し、CWT下で生じる葛藤を、アルコールが緩和しているものと考えられます。


クレペリンテストおよびタッピングテスト

 情報処理能力の検査として、クレペリンテスト(連続加算作業)およびタッピングテスト(タッピング作業)があり、パーソナルコンピューターを用いて行った研究もあります。クレペリンテストは、10分間の試行を1回とし、2分間の休憩をはさんで4回行われます。テストは、パソコンの画面に現れる1桁の2数字を、加算した結果の1桁の数字を、キーボード上で回答するものです。回答が終わるごとに、次の問題が現れるようになっています。また、タッピングテストというのは、1分間の試行を1回とし、15秒の休止をはさみ、4回行われます。テストは、キーボード上の隣接する2つのキーを、右手第2および第3指で、交互にできるだけ早く押すものです。この2つのテストを、通常喫煙時、24時間禁煙時、24時間禁煙後再喫煙時、飲酒時、飲酒後喫煙時の5条件下で行い、反応数(クレペリンテストでは正反応数)を比較した結果が報告されています。

 まず、クレペリンテストによる結果は、喫煙、禁煙、再喫煙との関係では、いずれの被験者でも3条件間には有意差がありました。差の違いは、通常喫煙>再喫煙>禁煙の順でした。また喫煙、飲酒、飲酒喫煙との関係では、3名では喫煙>飲酒、飲酒喫煙>飲酒、1名では喫煙>飲酒、喫煙>飲酒喫煙でした。このことから、喫煙時での正反応数が最も多く、酩酊下では減少し、酩酊下での喫煙では増加するが、非酩酊下での喫煙時水準には達していないことがわかりました。

 次に、タッピングテストの結果は、喫煙、禁煙、再喫煙の関係においては、1名で再喫煙>喫煙>禁煙、もう1名で喫煙>禁煙、残りの2名においては、3条件間に有意差はありませんでした。また喫煙、飲酒、飲酒喫煙との関係にいては、2名で喫煙>飲酒、1名で飲酒喫煙>喫煙・飲酒、1名で喫煙>飲酒・飲酒喫煙、飲酒>飲酒喫煙でした。

 以上の結果から、喫煙と禁煙との関係からニコチンの情報処理能力に及ぼす影響をまとめると、クレペリンテスト(連続加算作業)は、いずれの被験者においても通常喫煙時で最も効率よく進み、禁煙下では低下し、再喫煙によって回復しています。また、タッピング作業においては、喫煙と禁煙の影響は半数の被験者にみられただけで、乏しいといえます。一方、喫煙と飲酒との関係からニコチンの情報処理能力に及ぼす影響をみてみると、クレペリンテスト(連続加算作業)は通常喫煙時で最も高率よく、酩酊下では低下し、酩酊下での喫煙によって回復傾向をみせます。また、タッピング作業への影響は、3名の被験者で喫煙時のほうが飲酒時を上回ったものの、飲酒喫煙時の結果を考慮すると、連続加算作業ほど一様ではないといえます。


喫煙と記憶

 動物におけるニコチンの効果が検討されていますが、これをヒトと比較検討できるように、記憶試験法の開発が行われました。比較のために、言語的符合化の図形を用いる必要があり、検討を加えた結果、ヒトにおいても非言語的記憶実験法によって、喫煙の影響を検索できるようになったのです。

 研究では、正常被験者に7桁のランダム数字を記憶させ、再生させるまでの時間を随時延長させていきました。結果は、これらの被験者では、長時間にわたる遅延時間にもかかわらず、記憶保持がみられました。遅延時間中に、ほかの作業を実施させると、最大記憶保持時間は著しく減少することがわかりました。全体として、言語刺激の一種である数字は容易に記憶され、遅延時間と正選択率との一貫した関係が得られませんでした。

 そこで、今度はランダム図形が用いられ、これについて最大記憶保持時間の測定が、正常被験者において検索されました。その結果、4〜4,096秒以上と変動のあることがわかりました。しかし、被験者はランダム図形を「縦縞」とか「バネ」などと言語化し、被験者によっては最大記憶保持時間が60分を越えました。ただ、ランダム図形が16種と限られていたことから、すべてを覚えることが可能であったかもしれません。動物実験にできるだけ近い状態にするためには、被験者による言語化を避けなければならないため、さらに検討が加えられました。

 そこで研究では、6名の被験者によって、無意味図形の記憶に対する禁煙の影響について検討されました。まず、無意味図形16種のうち3種を提示し、それを記憶させ、1秒の遅延時間後に先の見本図形を含む8種の図形を示し、再認させました。そして正答であれば、2秒の遅延時間で施行、また正答であれば遅延時間を倍増していきました。誤答があれば反復して行い、それでも誤答ならば終了とし、終了時の2分の1を最大記憶保持時間としました。一部の被験者においては、禁煙による記憶の低下と、喫煙による改善効果がみられました。しかし、指標としていた最大記憶保持時間には個人差が大きく、図形およびその提示方法についてさらに検討を必要としました。

 その後の検討で、赤・青・黄の三色で構成したブロック図形16種が使われました。記憶試験には、これらの中から1種類のみが見本刺激として、1秒間提示されました。所定の遅延時間後には、さきの見本図形を含む16種類の図形が示されました。遅延時間は、2、4、8、16秒とし、各遅延時間については4試行をランダムな順で提示しました。なお、遅延時間中には、画面上のランダムな位置に、1秒ごとに、上述の刺激図形とは別の図形をつぎつぎと提示し、これをマウスで追随させる課題を与えて、被験者が遅延時間中に見本刺激図形を言語的に意味づけることを防ぎました。その結果、被験者による個体差はかなりみられましたが、遅延時間2秒の試行での正選択率にくらべると、16秒での正選択率は有意な減少を示しました。


喫煙と慢性疲労症候群

 喫煙の抗ストレス作用が、いくつかの系で報告されていることを踏まえ、喫煙と慢性疲労症候群との関係についても検討しています。疫学的研究の結果では、慢性疲労症候群は禁煙群にも喫煙群にも同じ頻度で発症していることがわかりました。さらに、これまで喫煙していた患者が、慢性疲労症候群を発症した後に禁煙しても、臨床症状は悪化も改善もしていませんでした。このことから、喫煙が慢性疲労症候群の発症や進展に、影響を与えるものではないことを示唆しているといえます。

 また、慢性疲労症候群では、血液中のNK(ナチュラルキラー)細胞活性の低下があることから、これらへの喫煙による影響も検討されました。NK細胞を、いろいろな濃度のタバコ・タールで処理したところ、タバコ・タールは試験管内で、NK細胞活性に対して増強も低下もしませんでした。さらに、喫煙も生体内でのNK細胞の機能に影響を与えないことも明らかになりました。


喫煙と精神疾患

 喫煙には精神効果があることがわかっており、精神障害者と喫煙の関係における研究報告があります。精神疾患罹患者が、タバコ、アルコール飲料、カフェイン飲料を使用した際の実態調査が行われ、疾患相互の違いについて報告されています。

 アルコール依存症では、喫煙開始年齢が早く、喫煙量が多く、喫煙動因として鎮静効果、欲求の充足、口・手の充足が優位であり、ニコチン依存度が高くて、その依存度は特に30歳代で高くなっています。これは、薬物依存という共通の基盤に基づくためと考えられます。次に、精神分裂病においては、喫煙開始年齢が遅く、喫煙動因は欲求の充足と口・手の充足が優位であり、ニコチン依存度は40歳代で高くなっています。精神分裂病で喫煙開始年齢が遅い理由としては、嗜好品使用が社交など周囲の人達からの影響によって始まることから、病前性格との関連で、これらの影響を受けにくかった可能性が考えられます。また、神経症においては、喫煙動因は機械的習癖において優位でした。

 全体としては、ニコチン依存との正の関係は、アルコール依存症で最も強く、次に躁うつ病、神経症、精神分裂病の順でした。飲酒量は、精神分裂病、アルコール依存症、躁うつ病においては、受療にともなって経時的に減少していましたが、神経症では変化がありませんでした。精神分裂病、アルコール依存症、躁うつ病における飲酒量の減少は、治療上および薬物療法下であることが考えられ、また神経症で変化が無いのは、アルコールの抗不安作用が役割を果たしていることも考えられます。カフェイン飲料について、際立った特徴がないのは、タバコやアルコールのような嗜好品と比べて、習慣的に使用されていないためではないかと考えられます。